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エンタメ小説家・西式豊の映画感想ブログです

2023-01-01から1年間の記事一覧

映画『サタデー・フィクション』の感想

「ロウ・イエ印のパルプ・フィクション」 注:観客の興趣をそぐことがないと思われる範囲で、作品の内容に言及しています。 これは多分に自分の勉強不足からきている事実誤認の類だと思うのだが、長い間ロウ・イエは政治的な映画監督なのだと思っていた。な…

映画『ゴジラ-1.0』の感想

「焼野原の二重露光」 注:観客の興趣をそぐことがないと思われる範囲で、作品の内容に言及しています。 野村芳太郎の『左ききの狙撃者・東京湾』を観た時に、狙撃事件の現場検証にやってきた刑事たちが、妙に手慣れた調子で狙撃手の姿勢や弾道を口々に分析…

映画『唄う六人の女』の感想

「正直じいさん どこにも いない」 注:観客の興趣をそぐことがないと思われる範囲で、作品の内容に言及しています。 いずことも知れぬ森の中に迷い込んだ二人の男を翻弄する、「女」たちのビジュアルイメージが強烈な印象を残す、不条理ホラーである。 文明…

映画『悪い子バビー』の感想

「地獄の底で健全に生きる方法」 注:観客の興趣をそぐことがないと思われる範囲で、作品の内容に言及しています。 1993年の世界公開時点で、ヴェネチア映画祭の三部門で賞に輝きながら、なぜか日本では『アブノーマル』とのタイトルでキワモノ的にビデオス…

映画『鯨の骨』の感想

「自分はリアルな存在だ、という事実への諦念と希望」 注:観客の興趣をそぐことがないと思われる範囲で、作品の内容に言及しています。 詩的でありながらも、どこか寂しく不穏でもあるタイトルの意味は、映画の冒頭で開示される。 深海では死んだ鯨の骨の周…

映画『まなみ100%』の感想

「若さは馬鹿さの言い換えだから」 注:観客の興趣をそぐことがないと思われる範囲で、作品の内容に言及しています。 エンタメ系の若い表現者が犯しがちな過ちの一つに、ほんの数年前の出来事にすぎない自分の青春時代の経験を、そのまま作品に反映させてし…