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エンタメ小説家・西式豊の映画感想ブログです

2023年劇場鑑賞映画ベスト10

2023年の劇場鑑賞本数は133本。ほぼコロナ前の水準まで回復しました。

正直なところ「これは凄い!」と夢中になるような作品を欠いた、低調な印象の一年でした。

ランキングは例によって、良い悪いではなく、どれだけ「自分のなかに落としどころがあったか」という極めて私的な基準になっています。

 

10位『ゴジラ−1.0』

間違いなく歴代シリーズで一、二を争う大傑作。エピソードゼロでもマルチバースでもなく、精神性としては初代の延長戦にあるのも良い。

 

9位『福田村事件』

よくぞ撮ったり。きちんと大正時代の話に見えるのが良い。某脚本家の手癖である(しかも本編の主題とは関係のない)妙に古臭い性意識がなければもっと良かったのに。

 

8位『リバー、流れないでよ』

2分間という超短スパンのタイムリープという新奇なアイディアの部分よりも、普遍的な人情喜劇として物語を落としていく手練れの技に感服した。

 

7位『ジョン・ウィック コンセクエンス』

既存のシリーズと一線画した面白さ。パリ編の常軌を逸した展開には開いた口が塞がらなかった。格闘の段取りがしっかりわかるアクション演出にも好印象。

 

6位『アイスクリーム・フィーバー』

90~00年代あたりのスカした邦画のテイストを令和の世に完全再現。荒ぶらない芝居の吉岡里帆としては会心の出来かと。モトーラ世里奈もキャリア最高に正しい使われ方。

 

5位『わたしの幸せな結婚』

今年一番のダークホースと呼んでも過言ではないはず。和風伝奇アクションという失敗しがちなネタを、ロケや小道具を駆使して支えた裏方のがんばりが見事に結実。

 

4位『緑のざわめき』

この年、一番びっくりした映画。およそ定型の物語には収まらない収拾のつかなさが、忘れがたい印象を残す。夏都愛未監督には、どうかこのまま己の道を究めて欲しい。

 

3位『まなみ100%』

撮ってる監督が、撮られている事象の意味を(本当は絶対にそんなことはないはずだけど)一番なんにもわかっていないように見えるというメタ性が作品の核になっている。

 

2位『月』

キャストもスタッフも観客も非当事者であることを前提に、「当事者にはなりえない」という事実にどう向き合うかを、ギリギリまで考え抜いた誠実な映画だと思う。

 

1位『シャドウ・プレイ 完全版』

すべてにおいて完璧と断言できる得難い映画体験。